応募締切:2024年11月1日[金] 必着
*持参の場合は2024年11月2日[土] 17:00まで
助成:35万円
*公募は終了しました。
審査結果
この度、ギャラリー無量の「キュレーション公募2025」にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。また、応募書類など送付いただき、重ねてお礼申し上げます。当ギャラリーとしては4度目の試みであり、どのような受け止め方をしていただけるのか、心配しておりました。しかし、応募していただいたキュレーションはどれも素晴らしい内容であり、レベルの高いキュレーションの試みなど意欲的な企画が多く寄せられました。皆様のご意欲に心から感謝申し上げたいと思います。
キュレーション公募2025の審査結果を下記の要領にて通知いたします。
選出されたキュレーション企画
キュレーター:保泉エリ
企画展名:「コンパスを使って辿る(仮)」
審査内容
①審査員 尺戸智佳子 長谷川新 松江李穂 鷲田めるろ
②審査日 2024年11月3日(日)
③審査会場 ギャラリー無量
④審査方法 どれも素晴らしい内容であり1次審査と2次審査の段階を経ず、最終2案を絞り込みその比較により候補作を決める審査方法へ変更しました。
⑤応募総数 4通
⑥発表方法 選定された一篇、総評はHPで発表します。今回の選定にもれた方には個別に結果、総評、個別講評を郵送する方法をとります。
総 評
尺戸智佳子
黒部市美術館 学芸員
今回の企画案で印象的であったのは、身体や実存を起点とした試みが多くあった点です。絡まり合う世界の中で生きる在りようが切実に問われていることを改めて感じ、私自身の関心事と重なりつつも、各々の独自な観点について感嘆し、大変興味深く企画書を拝見しました。その中で、場の必然性、趣旨の明確さ、作家選定の意図、実現性のバランスを重視し、2案に絞られましたが、そこからが非常に難航しました。それぞれ魅力が異なる2案について、どちらも実現していただきたいという思いを断ち切りつつ、最終的に、ギャラリー無量、あるいはこの地域でしか実現できそうにない企画であるという場所との強固な結びつきと、事前リサーチによって綿密に計画された作品案や展示構成案に滲む甚大な熱意とともに提出された保泉案を評価しました。
長谷川新
インディペンデントキュレーター
ギャラリー無量の公募展に関わるようになってしばらく経ちますが、興味深い、実現してほしいプランがまだまだ続々と寄せられることを本当に嬉しく思います。今年は本当に審査が難航し、2案まで絞られた後、審査時間の半分位をどちらの案にするかで議論を重ねたほどでした。それほど甲乙つけがたものでしたが、最終的に、こんこんと湧き続ける砺波の地理や歴史を掬いとろうとする保泉案を推しました。これまでのギャラリー無量の展示とはまた異なる道筋が新しく生まれそうです。開催を楽しみにしています。
松江李穂
青森県立美術館 学芸員
キュレーション公募2020
選定キュレーター
今回も様々な視点を持った企画案が集まりましたが、キュレーターの数だけキュレーションの方法論があり、そこには無数の展覧会の可能性が秘められているのだということを改めて認識し嬉しく思いました。特に最終候補に残った2つの案では、壁や導線という展覧会を構成する空間要素を自由に解釈し、それぞれ異なる方法で空間と来場者との関係性を結び直そうとする試みが見られました。またどちらも作品やテーマはもちろんのこと、空間の使い方やイベントが多層的に組み立てられた展覧会になっており甲乙付け難かったです。ですが最終的に、企画案の段階で具体的な作品プランと展覧会テーマとの関係性が明示され、砺波という地域性を踏まえながら丁寧に展覧会が組み立てられていた保泉案を評価し、次回のキュレーターへ選定しました。
鷲田めるろ
十和田市現代美術館 館長
東京藝術大学大学院 准教授
4件の応募でしたが、そのうちの保泉案とdabada案の2件は、両方ともぜひ実現したいと思えるような良い案で、最後まで迷いました。保泉案は、会場の下見も含めよく準備されており、ギャラリー無量ならではの「よい」展示になる確信が持てました。他方、dabada案は、「おもしろく」なる可能性は感じましたが、応募時点では未確定の部分があり、予測不可能な部分がありました。京都展を経て、より具体的なプランで、来年公募があれば、ぜひ再度応募していただきたいと思いました。その際、ギャラリー無量の空間ならではの新しい挑戦があるとよいと思います。その2案と比較すると司馬案と菊池案は、計画の練り込みが十分でないように感じました。
公募概要
企画概要
「キュレーション公募展2025」では、キュレーターによる企画案を募集します。選定されたキュレーションは2025年(来年)にギャラリー無量で実施の予定です。
全国でいろいろな展覧会が行われ、記憶の中に留まるものや忘れ去られていくもの、多くの展覧会が消費されていきます。もっともらしい「社会への問いかけ」を自負し、価値観の変革を「新しさ・個性」で武装して企画された展覧会がヨタヨタとよろけている様に見えるのは何故でしょう。現代アートが「コンテンポラリー」を見出せていない様に思われるのは何故でしょう。そして今、時代の大きな転換期(戦争・平和・AI)を迎えている時、根本から展覧会のあり方を再考する場面に立たされているのではないかと思われます。アートに緩やかな役割があるならば、その役割を再評価し現在の閉塞感やとらわれから抜け出す方法(キュレーション)を見つけ出す、キュレーターが必要です。
ギャラリー無量では2021年、第1回「キュレーション公募展2020」を実施致しました。コロナ禍の中で1年伸びましたが、選定されたキュレーター松江李穂氏の「A STEP AWAY FROM THEM 一歩離れて」です。人や物との距離を置くことが声高に叫ばれた時期だからこそ、一歩離れた=少し距離をおいた、いつもとは違った視点を取り入れることの大切さを強く意識したキュレーションでした。第2回「キュレーション公募展2023」選定されたキュレーター清水冴氏の「記憶をほどく、編みなおす」は、記憶の呪縛との付き合い方をキュレーションしました。第3回「キュレーション公募展2024」に選定されたキュレーター小川楽生氏の「おもはゆいふかみ(仮)」も今年10月に行われる予定です。
キュレーターには、自分のキュレーションを実験してみる機会が多いとは言えません。キュレーターが、実際の展覧会の企画から実施までを遂行することで、貴重な体験や新たな可能性を見出すことを願い、本公募を計画しました。散居村の只中にポツンとある、古民家を改修したギャラリー無量で、「キュレーションによって展覧会はこうも変わるのだ」と思わせるような、キュレーターの意欲的・実験的なキュレーションを募集します。
募集内容
・キュレーターによるギャラリー無量を活用した意欲的な展覧会企画
・出展作品のジャンル・形式は自由
・企画内容
・新鮮さやインパクトがある
・見たこともないイメージ、体験したことのない感覚刺激等のインパクト
・メッセージや主張がある
・主張、メッセージ、思想が確立している
・時代のコンパスになり得ている
・キュレーションの新しさがある
・参加者の想像力を高める工夫がなされている
応募締切
2024年11月1日 [金]必着
*持参の場合は11月2日 [土] 17:00まで
応募資格
・国籍、年齢、性別、資格の有無(学芸員等)、経験の有無、個人、団体は問わない。
※事業に関する会議や打合せはすべて日本語で行います。
・入選した場合、展覧会の準備開催および撤去に至るまで責任をもって遂行できること。
・ギャラリー無量との連絡が円滑にとれること。
支援内容
・展覧会実施にかかる経費として35万円の支給
・展覧会会場としてギャラリー無量の建物、敷地提供
*搬入出期間を含む/その他の会場使用に関しては入選後調整のうえ決定
・審査員(アドバイザー)によるアドバイス
・ ギャラリー無量による展覧会実現までのサポート(展示作業サポート)
・ 広報及および宣伝協力(ギャラリー無量HPへの情報掲載、印刷物送料等)
・ 監視スタッフの手配および費用負担
・アーティスト・イン・レジデンス可能(合計7日間程度)
選考方法
・2024年11月3日(日)から書類選考・面談選考1組を選定
(11月中旬から11月下旬 応募者全員に郵送にて結果通知)
選考スケジュール
【応募から選考までのスケジュール】
2024年11月1日(金) 応募締め切り
2024年11月3日(日) 審査(書類選考)(面談)
2024年11月中旬 審査結果通知
【事業実施スケジュール】
2024年11月下旬〜 (予定)数回の企画会議
2025年8月中旬 DM・ポスターデータ作成・発送
2025年9月下旬 展示設営
2025年10月4日(土)〜 (予定)展覧会開催/関連事業(トークイベントなど)
2025年11月下旬 展示搬出
2026年1月下旬 記録集作成
審査員(敬称略)
(撮影:柳原良平)
尺戸智佳子
黒部市美術館学芸員
1979年生まれ
「山本優美 間−あわい−を読む」キュレーター ギャラリー無量(2018)
「風景と色設計室ホー 台所に立つ、灯台から見る」(2020)
「山下麻衣+小林直人「蜃気楼か。」」(2021)
「小林耕平 テレポーテーション」(2022)
「キュンチョメ個展 魂の色は青」(2023)
特色ある空間、とりまく環境(地域や社会)等から思考を展開させ、そこに作品が切り離しがたく結びついているもの。これを今、みなで共有することできっと何かの糧になると思わせられるような企画を楽しみにしています。
審査員からのコメント
(撮影:加藤甫)
長谷川新
インディペンデントキュレーター
1988年生まれ
「無人島にて──『80年代』の彫刻/立体/インスタレーション」(2014)
「パレ・ド・キョート/現実のたてる音」(2015)
「クロニクル、クロニクル!」(2016-2017)
「不純物と免疫」(2017-2018)
「STAYTUNE/D」キュレーター ギャラリー無量(2019)
「約束の凝集」(2020-2021)
この社会において私たちの生を拡張するような企画を心待ちにしています。他者とどのように対峙するか、(高解像度であっても低解像度であっても)その正確さが求められています。矛盾して聞こえるかもしれませんが、身ぎれいで整理されておらずとも一向に構わない、と思っています。
審査員からのコメント
松江李穂
埼玉県立近代美術館 学芸員
キュレーション公募2020選定キュレーター
1994年生まれ
「一歩離れて / A Step Away From Them」キュレーター ギャラリー無量 (2021)
「埼玉県立近代美術館アーティストプロジェクト#2.06
髙橋銑 いき、またいきる」ゲストキュレーター (2022)
「菊谷達史・前田春日美 影をしたためる」キュレーター (2022)
「アブソリュート・チェアーズ」キュレーター(2024)
それぞれが選んだ作品の魅力や、ギャラリー無量の空間や立地の特殊性がもつポテンシャルを存分に引き出せるようなキュレーションを期待しています。個展・グループ展に関わらず、展覧会という形式の可能性をさらに広げていくような、意欲的なキュレーションもお待ちしています。
審査員からのコメント
鷲田めるろ
十和田市現代美術館 館長
東京藝術大学大学院 准教授
1973年生まれ
元金沢21世紀美術館キュレーター(1999-2018)
第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展
日本館キュレーター(2017)
「越後正志展 loophole 」キュレーター ギャラリー無量(2017)
あいちトリエンナーレ2019キュレーター
「インター+プレイ」キュレーター(金澤韻との共同) (2020-22)
ギャラリー無量の特殊性(都市部から離れ自動車でないと行きにくい立地、散居村の伝統的な日本家屋を改装した空間、仲間に支えられながらの個人による運営、それゆえの限られた予算)を最大限に生かした企画案を期待します。
審査員からのコメント
応募方法
以下より各様式をダウンロードの上、下記Ⅰ~Ⅲの書類一式を下記送付先まで提出してください。
Ⅰ. 応募用紙(指定様式1)
Ⅱ.企画書(様式自由。応募用紙とは区別し、下記項目についてA4用紙4枚以内にまとめる)
・展覧会企画趣旨
・出展予定作家及び作品案
・出展予定作家の詳細
・会期中の関連事業
Ⅲ. 予算書(指定様式2)
※提出された応募書類は原則として返却しません。
※宅配便、レターパック、簡易書留等の送付記録が残る方法で送付してください。
※封筒に「キュレーション公募2025応募書類在中」と朱書きしてください。
応募書類の送付先
〒932-0315
富山県砺波市庄川町示野233番地
ギャラリー無量
関連企画・事前説明会
キュレーション公募2024選定キュレーション
「おもはゆいふかみ(仮)」
開催期間: 2024年10月12日[土] – 11月11日[月]
10:00 – 12:00/13:00 – 17:00
土・日・月のみ開廊
キュレーター:小川楽生
アーティスト:田中小太郎、山崎結衣、Nino Kapanadze
ポスト=インターネットと呼ばれるこの絶え間ない情報の錯綜での主体性は、もはや顔を必要としないままに愛を育みうるのだろうか。空リブ、ネットミーム、グレーの初期アイコン・・・ところで、展示におけるキャプション{caption}のcapは先端・頭を意味しつつ、capital(資本・都市)、その原理としての蓄積、交換原理もはらむ。展示や作品を代表する碑文として、展示の先端を担いつつ、作品への移送を可能にするそのキャプションの詩的言語は、『鑑賞者への信頼/アーティストらとの同意の蓄積』を頭に持つ代表者である。ヨーロッパ的な論理を匂わせる・・・このキャプションの前提を、「顔を持たない愛」から穏やかに揺り動かしていきたい。ただ古民家のノスタルジー、その土地で住まうことの原初的な心地よさを回収するのみならず、先端的な理論の位相を組み込み、動線設計・照明設計を顔の整形とみなしつつ、ヨーロッパ〜アメリカからの移植としてあるホワイトキューブ・展示・キャプションの再構築を試みる。
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