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 村田勇気 個展 CIRCUM-SCRIBE 

   4.17(金)-5.17(日)の金・土・日・祝日
                   (みどりの日 こどもの日) 17日間

・トークイベント「ARTIST TALK」
   村田勇気
 4.18.(土)14:00~

 西田美術館、富山市ガラス美術館、ギャラリー無量の3館にて、彫刻家・村田勇気が企画構成を務める一連の個展群を開催致します。
 村田勇気(むらたゆうき、1991-)は独自の視点から木彫文化特有の方法論やコードについて洞察を深め、宗教、テクノロジー、美術史、インターネットなどの様々なミームと繋げ再構成する作風で、東京芸術大学在学中の折から数々の賞に輝くなど評価を得、国内外で精力的に作品を発表する気鋭の彫刻家です。
 Sculpture(“Skelh”=切る)と隣り合う概念として、Scribe(”Skreybh”=引っ掻く、傷をつける)に着目した村田は、派生語 ”Inscribe”, “Describe”, “Circumscribe” を主題にしたトリロジーを、彼の出身である富山県内の三つのスペースで展開します。

 第1章「IN-SCRIBE」
 ヒトが何らかの強い目的を持って情報を刻もうとする際に当初選択されたのは、甲骨文字や楔形文字、ヒエログリフなどにみられるように、表面が平滑で硬い(あるいは硬くなる)フォームと、先端が鋭利なツールでした。
 碑文、扁額、看板などといった、フォームを欠損させ意味をなす引き算の造形からは、素材の中に完成品が常に含まれた状態であるという、カービングの基本思考の典型とその限界をみることができます。
 西田美術館所蔵のオリエント美術や中世イコンを参照しつつ、紙や活版印刷の発明、複写機、印刷機の発明、Webの登場とUnicodeの実装といった記録技術史をインスピレーションに、「刻む」行為と情報伝達について考察します。
 第2章「DE-SCRIBE」
 有岡芳山(ありおかほうざん、1909-1998)は、三角鑿などの工具の研究・改良に努め、薄肉で切れ味の鋭い表現を得意とした、富山県の伝統産業である高岡漆器の彫刻師です。
 その孫として生まれた村田勇気は、幼少から工芸に親しみ、とりわけ祖父が生業とした「彫り」の介在する造形表現や図画に興味を示し、強く影響を受けるようになります。 芳山の生誕111周年に寄せ、彼の眠る菩提寺からごく近傍な富山市ガラス美術館を会場に、所在の特定できた数少ない作例と遺された膨大な図面を、初となる個展として一般公開。芳山を知る者の口伝や記録を頼りに村田勇気が「書き手」として筆を執り、二人の彫刻家を取り巻く物語を「記述」します。
 第3章「CIRCUM-SCRIBE」
 本邦木彫の一大産地である井波近郊に位置し、砺波散居村を構成する伝統建築でもあるギャラリー無量の構築的な空間を舞台に、先の章で扱った引き算の造形を前提として、作品の界面を取り囲む空間、あるいは作品が支配する領域とは一体何なのかについて考えます。
 数学者佐藤郁郎氏と木工技師中川宏氏による共同研究、画家榎本和子氏による「オマージュ瀧口修造展」で検討された、無限入れ子が成立するデューラー立体の構造解析を参照し、カービングの方法論に迫る新作木彫群のほか、三会場にわたり展開してきた個展群の布石を回収する実験的新作として、初の試みであるパフォーマンス記録映像や写真などを構成したインスタレーションを公開します。             (村田勇気)