佐藤弘隆 「昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵」

Hirotaka Sato Yesterday's antagonist becomes today's ally, Today's ally becomes tomorrow's antagonist.

2018.5.3[木・祝] ー 5.27[日]

 高度情報化社会といわれる昨今、人々の関係はより広大で即時性の高いネットワークで繋がり、なお拡大しています。 欲しい商品がワンクリックで自宅に届き、話題のニュースがリアルタイムで入手できる、高度にシステム化された社会です。 一方で、物事の因果関係やプロセスはますます複雑に、間接化し、不透明なものになっていきます。私たちが日々何気なく消費している電気や水、食事、衣服、娯楽品、あるいは情報といったものはどこからどのように来るのでしょうか。

 私たちの生活は途方もない数の「他者」との関係の上で成立しています。しかしながら、関係が間接的になればなるほど、 相手は「私」の認識から外れていきます。知らず知らずのうちに顔も見えない他者に依存しているのは怖いことでもあります。なぜなら社会における関係性は仲良し小好しの調和的で安定的なものだけではないからです。社会には衝突や分断 を引き起こしたり緊張や利害が生じるような、不安定な関係も同時に存在しています。私たちの欲望や消費欲求によって 生じる無邪気な暴力性や思いがけない利害関係が、「誰か」との間に成立しているとしたら―或いはそれが連続的な因果関 係によって、思いがけない形と規模で社会的なものに変化しているとしたら―(健全に機能する民主社会においては)そ れはできる限り認識しようと努力されるべきですし、自らの行動の選択において考慮されなければなりません。

 本展覧会では、政治哲学に由来する「 敵対(antagonism)」というキーワードを通して、「人と人」「人と社会」「人と自然」 など様々な関係を観察し、私たちの日常と世の中の繋がりを見ることを試みます。それによって、見えにくかった利害関 係や暴力性が浮き彫りになるかもしれません。「昨日の敵は今日の友」になり得るように、「今日の友は明日の敵」にもな り得ます。「わたし」とは何者で「あなた」とは何者なのか。「他者」との関係の可能性と限界点を探ります。

佐藤弘隆

アーティスト:

佐藤弘隆  Hirotaka Sato

1993年新潟県五泉市生まれ。富山大学大学院芸術文化学研究科に在籍。物事の共犯関係や変化のプロセスにフォーカスした作品を制作している。 近年の展覧会に「アートフェア東京 2018」(東京国際フォーラム / 東京)、「Monster Exhibition 2017」( 渋谷ヒカリエ / 東京 ・hpgrp gallery NewYork / ニューヨーク)など。「アートフェア富山2017・ART AWARD」(富山市ガラス美術館)では《平面・立体部門》準グランプリを受賞。
 

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